9.なりふり構わない意地悪令嬢に、ニセ嫁タジタジざまぁーす。

16/27
前へ
/319ページ
次へ
  「それとこれとは話が別です。さあ、行きましょう。きちんと一矢様にもこの様な事がなされたと、報告させていただきますから」 「それだけは・・・・どうかそれだけは・・・・」  ボロボロと泣きながら令嬢が私に向かって土下座してきた。「ごめんなさい、伊織様。貴女が羨ましくて・・・・何の家柄も無い貴女が選ばれたことが、妬ましくて・・・・」  えらく正直な人だな。どうせ無血統ですよ。 「つい、無礼を働いてしまいました。本当に申し訳ございません。どうか、一矢様には言わないで・・・・」  こんな事しておきながら、言わないでとか、バカじゃないの。報告されないワケないのに。  ご令嬢だから、パッパラパーなのね。脳内お花畑なんだわ。  でも、このお嬢様も一矢をずっと好いてきたのよね。それなのに、急にニセ令嬢がぽーんと出てきちゃあ、面白くないわよね。解る、うん、解るよその気持ち。それだけは同情できるけど、他はできませんからぁー!   「お顔を、お上げになって」  私の言葉に、土下座スタイルからお嬢様が顔を上げた。その顔を思いきり、バチーンと引っぱたいた。 「痛み分けですわ。これでお互い様ですから、お約束通り一矢様には言いません。でも、このままでは戻れませんので、レストルームをお借りいたしますわね。中松、すぐヘアセットをして頂戴。できるわね?」 「はっ。すぐに」 「行きましょう」  中松を連れて令嬢を放置し、その場を後にした。
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5644人が本棚に入れています
本棚に追加