失恋シェアハウス

第１話

　「は、はっくしょーん！」

　さ、寒い…早くホテル行こう。

　村瀬葵27歳、建築事務所で働くCADオペレーター。
　数時間前、私は住む家を無くした。
　あ、ついでに同棲までしていた彼氏も…。
　マンネリだったのは認めるけど、まさか自分が寝取られるとは思いませんでした。

　ちっくしょー！！！

　「ええっ！？帰ったら、浮気現場に遭遇！？」
　「ちょっ…声が大きいってば！」

　同僚の吉野ともみが慌てて口を抑える。

　「ごめんごめん…。まさかドラマみたいな話があるとは…。だからスーツケースで出社したわけね」
　「そういうこと。『出てけ～～！！』って怒鳴って、１時間で荷物まとめて自分が出てきちゃった」
　「葵らしいというか何というか…。でも大丈夫なの？住む所」
　「ヘヘン。それがね、もう決めて今日入居するんだ」
　「えっ！何その展開！早すぎでしょ！」
　「失恋女には、泣いている暇はないということだよ」

　私はあっけらかんと笑って言ったのだった。
　『シェアハウスー！？』って、ともみに言ったらまたびっくりされたけど。
心機一転！クヨクヨなんてしてられない！