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「雨かぁ」
駐車場はマンションの地下にあるため濡れることはないが、病院の駐車場から院内に入るには屋根のないところを歩かないといけない。
車に傘、積んであったっけ?
俺の名前は、菅野昭夫。救急外来に勤務する医者だ。2次救急だけれど、救急車はひっきりなしにやってくる。一度勤務に入ると、数日帰れないなんてこともザラだ。だからこそ、出勤は憂鬱で、頭で考えると行きたくなくなるので、ルーティンをこなさないといけない。
しかし、今日の夢はリアルだったなぁ。やだな、正夢になったら………
職場の病院は車で30分ほどの距離だ。いつもなら余裕で着いている時間だが、今日は事故渋滞みたいで、まったく進まない。
とりあえず、病院に遅れると連絡をしておこう。
ようやく病院について、白衣に着替えて救急処置室に向かう。
「申し訳ありません。全力を尽くしましたが……、あと5分早ければ、可能性があったかもしれません」
救急外来の前の廊下で、同僚と看護師が家族と思しき人に話をしていた。
どうやら、助からなかったらしい。
死後処置や霊柩車の手配などが一通り終わったところで、同僚にさっきの患者について聞いてみた。
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