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「お時間お掛けして申し訳ありません。こちらのソフトでお間違いないですか?」
店員はソフトをオレに見えるように差し出す。これはまずい、この角度は後ろから見える可能性がある。
俺は間違いないです。と頷き、ゆっくりと背後を振り向く。すると女子生徒はスマホを眺めていたので、ホッと肩を撫で下ろす。
お会計を済ませ、そそくさと俺はレジを後にする。どうやらあの女子生徒には気づかれていないらしい。
危なかった。‥‥もし気づかれていたら高校デビューが脅かされていたかもしれん。とっとと帰ってゲームに勤しむとしよう。
「ねぇ」
背後から聞こえた声に振り向くと、さっきの女子生徒が立っていた。その手には会計を済ませた袋をぶら下げている。
「‥‥なんだよ?」
「さっき職員室で会った人でしょ? 何を買ったのかしら?」
女子生徒は腕を組みながら、顔を傾けている。一体何故こんなことを聞いてくるのだろうか。
「‥‥そうだけど。何を買ったかなんて関係ないだろ」
「あなた友達たくさんいるわよね。あのウェイウェイ系の」
ウェイウェイ系って‥‥。周りから見たらやはりそう見えているのか。これが陽キャラか、中々に悪くはない。
「まぁな。それがなんか関係あるのか?」
「最近のウェイウェイ系は、そんなゲームが流行っているのかと疑問に思っただけ」
女子生徒はニヤリと笑った。眼鏡の奥のその瞳は静かに笑っていた。
こうなっては俺の脳内ではお祭り騒ぎである。
もしかして見られていたのか? それでこうして面白がって近づいてきたのか‥‥?
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