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そうして高校生活が幕をあげた。当初の予定通り、おそらくはクラスのカーストで上位に属することに成功したと言っても過言ではない。爽やかバスケ部の茂木池尾と、サッカー部のジャニーズ系イケメンの北澤黒須と仲良くなることに成功した。
所々若者言葉というやつが何を言っているか分からない時はあるが、持つべき地位を手に入れた俺にはそんな事はノーダメージだった。
これが陽キャラ!! もう最高っ!!
「黒須ぅー。うち、宿題忘れちゃったんだけどうつさせてよー」
「ほら。間違ってても俺のせいにするなよー?」
黒須は英語の宿題のノートを、城ヶ崎李梨奈に渡した。陽キャラになって俺が素晴らしいと思ったのは、宿題を忘れてもうつさせてもらえる事だ。こればかりは陽キャラ特権と言っても過言ではない。
陰キャラで友達の居なかった中学時代は、絶対に宿題を忘れてはいけなかった。宿題を忘れるイコール、死を表していたと言っても過言ではない。クラスでは目立ち、先生にも怒られる。つまりは最悪のダブルパンチだった訳だ。
それがどうだ。今では忘れれば休み時間に見せてもらえる。
何ですかこのヌルゲーは? やはり陽キャラというものは人生を得している。
「間違ってたら怒るかんねー!」
李梨奈がそう言うとみんなが笑った。なので俺もとりあえず笑っている。
未だにこう言う笑いのタイミングが難しい。陽キャラになってみて思ったが、とにかく陽キャラは笑っている。何かとすぐに笑うのだ。もちろん面白くない事も笑っている。
間違いなく某お笑い番組に出たら、その顔は一瞬でCLEARという表記で消されるに違いない。
「李梨奈早くうつしちゃった方がいいよ!」
獅子堂暗那は、控えめに李梨奈の袖を引っ張る。そのまま二人は自分の席へと着いた。
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