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初恋のあなたと
気が付くとそこは小学校の教室だった。
時間割、黒板、小さめの机と椅子、どれもこれもが懐かしい。
夕暮れ時なのか、西日が教室に差し込んでいた。
そこにぼくと、そして梨花さんがいる。奇妙なことにぼくも彼女も小学生のままではなく、年相応に成長した姿になっていた。
「梨花さん、久しぶり」
「久しぶりね、純くん」
形どおりのあいさつをすると、2人とも顔を赤くしながら、
「梨花さん、綺麗になったね」
「純くんも、カッコよくなって……」
互いに言葉を交わす度に互いに何かを言いたそうにしているが、ふたりは頬を赤らめながら沈黙している。そして1分ぐらいが過ぎたころ
「「あ、あの…」」
二人同時に話し始めてしまい、さらに顔が赤くなってしまった。
お互い何を言うべきかわかったかのように、純が先に話し始めた。
「梨花さんのこと、本当に、好きでした。それは今でも変わりません」
ひといき置いて、梨花が、
「私も、です……」
あとは言葉は要らなかった。二人は互いの身体を寄せて……
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