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リコリスさんの正体
――翌週
今度こそリコリスさんに会えると、再び向かったのは地方都市の私鉄ターミナル駅。改札で待ち合わせの予定である。
時間は12時。彼女は? 店内を見回すと今度こそ居た! 胸にカトレアのブローチをつけている綺麗な女性がいたのだ。
どこと無く梨花さんに似ている気がする。もしかして本当に……!? 彼女もこちらに気付いた様子で話しかけてきてくれた。
「はじめまして、いや、お久しぶりですね」
「リコリスさん、いえ、梨花さんですよね」
彼女はこくりとうなずいた。間違いない。夢にまで見た。というか先日夢で見せてもらった梨花さんだ! ぼくは飛び上がるような気持ちになった。
「はい、純くん、久しぶりですね。先週はごめんなさい」
「あ、いえ、そんな……」
ここは駅の改札口。電車に乗れば色々なところにいける。流行る気持ちを押さえつつ、二人は約束していた海に向かう特急電車に乗り込んだ。
電車の中は指定席も満席でなかなかの混み具合。彼女と隣同士の席で思い出話に花を咲かせているうち、海沿いの駅に到着した。
海水浴客はまばらで、波が寄せては返している。そんなところで空いているベンチに二人で腰掛けた。我ながらいい雰囲気だと思う。
すると彼女の方から、
「今日あなたと一緒に遠出したのはね、相談したいことがあって……」
「相談??」
もしかして愛の告白かもと、ぼくはすっかり浮かれていた。
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