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件のサイゼリヤに行くと、いつも通りゴシックドレスの彼女が居た。早速彼女に声をかけ、2人で向かいに座って型通りのあいさつを交わす。そういえば彼女の名前を聞いていなかったことを思い出した。
「梨花さん、はじめまして、ゆめみと申します」
なるほどと思いつつ、ぼくは梨花さんのお話をゆめみさんにした。すると、
「わかりました。私の夢でお手助け出来ると思います。代償はいただきますが」
寿命1日分はしっかり取るのがゆめみさんらしいが、手を差し伸べてくれるという。そこでぼくは、
「その代償、ぼくの寿命から支払いたいんですが」
「え!?」
「本当に?」
梨花さんとゆめみさんが驚きの声をあげたので、
「何も出来なかったぼくからの、せめてもの心積りです」
心積りと言うか、意地である。
「分かりました……、それでは夢の前のワンオーダーをどうぞ」
腹が減るとわかっているので、シーフードパエリアを注文した。
「それでは梨花さん、目を閉じてください」
ゆめみさんに促されて、梨花さんは夢の中へと入っていった。
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