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「んぐ…」
彼はきちんとした理性を取り戻しつつある中、自分の身に起こっていることも理解し始めたらしい。
キスを、されている。
「んぅ…あ、や、やめろ…!」
思いっきり突き放される。それでもおれの方が力が強いため、数センチ離れただけだった。
彼の瞳を見ると、見開かれた。
驚いて、口を半開きにし、彼はぼーっとおれを見つめていた。
「あ…悪魔…」
「残念。おれは、吸血鬼だ」
「ああ…そう…」
疲れた顔をして、彼は目を閉じる。無抵抗なのは、どうしてだろう。普通、あっちへ行け、とか、化け物、などと大声で非難するはずなのに。
おれを見て、驚いて、他に何もしないのか?
「君は、おかしいんじゃないか」
「…え?」
「どうしておれから逃げようとしない」
「どうしてって…解らない、訊かないでくれ」
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