#1 朱

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それと同時に、お前こそなんで俺を助けたんだよ、と言う。 それは…。 「何故か…君に生きてもらいたいと思った」 「食糧として、か」 「違う!」 「じゃあ何だ。まさか俺に好意でも持ったか」 好意。それは考えていなかった。 でも、改めて言われればそういうふうな気がしてくる。もしかしたら。おれは、君が。 「好き…なのかもしれない」 「どういうことだよ、もう…」 「一緒におれと暮らしてほしい」 彼はおれに胡乱な目を向けた。 当然の態度だが、おれは寂しい気分になってしまった。来てくれないとなると、ここで一気に喰らうしかない。 それだけは…嫌だ。
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