2 学校での再会

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「そうだ、アキのこと見に俺の家来る?」  理央が突然、思いついたようにそう言った。 「え、行ってもいいの?」 「もうすっかり元気だから見に来いよ。今日空いてる?」 「うん」 「じゃあ放課後迎えに行くよ。隣のクラスだよな」  そう言われて、那月は理央が自分のクラスを知っていたことに驚いた。 「それからさ、『横山くん』じゃなくて『理央』でいいよ」  理央はそう言うが、那月にとって初めて話した相手を下の名前で呼び捨てるのは少しハードルが高い。これは不良特有の距離感なのだろうかと少し戸惑った。 「えっと、じゃあ、理央くん」 「うん」  呼び捨てではないが、理央は納得したのか頷いた。 「じゃあな、那月」  そう言って理央はその場を後にした。  理央が立ち去った後も、那月はしばらくその場に立ち尽くしていた。別世界の人だと思っていた理央と突然距離が縮まり戸惑いながらも、初めてのことに胸が躍った。
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