3 理央の家

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「アキって何歳?」 「たぶん一歳くらいじゃないか? 家に来た時は今よりもっと小さかったんだ。写真見る?」  理央はそう言って、スマホの画像フォルダの中から子猫時代のアキの写真を見せてくれた。 「かわいい。結構小さいね」 「去年の秋に来たんだ」 「秋に拾ったからアキなの?」 「安直だろ。父さんが付けたんだ。でも呼びやすいし、アキも自分の名前覚えたっぽいんだよな」  そう言って理央はアキの頭を撫でた。アキは気持ちよさそうにしている。那月は理央と身を寄せ合ってアキを撫でながら、ふと、理央の伏せられた睫毛を見つめた。理央の顔は近くで見ても、見惚れてしまうほど端正だ。そんな理央と二人で猫を撫でていることに不思議な気持ちになる。  大人しく撫でられていたアキは外から聞こえた音に耳を立てて、那月の膝から跳び出した。 「あ、帰ってきた」 「もしかして、弟?」 「そう」  アキが居間のドアの前で鳴き出すと、ドアが開き理央の弟が入ってきた。 「ただいま」  理央の弟は小柄で顔にはまだ少し幼さが残り、中学の学ラン姿がよく似合っている。派手な理央と違い素朴な印象を受けるが、目元が理央に似ていて兄弟なのだとわかる。
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