3 理央の家

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「おかえり。お客さんだよ」  理央がそう言うと、弟は頭をぺこりと下げた。 「初めまして。玲央(れお)です」 「佐野那月です」 「那月がアキのこと守ってくれたんだよ」  理央がそう言うと、玲央の表情がパッと明るくなった。 「そうだったんだ! お兄ちゃん、お菓子出した?」 「今から出すから。お前は手洗ってこい」  玲央が洗面所に向かうと、理央は台所の棚からお菓子を出し始めた。 「あいつすごい甘えん坊なんだよ。那月にもベタベタするかも」  理央は少し困ったような顔でそう言った。  玲央は理央の言った通り甘えん坊で、お菓子を食べる時も自分のことを話す時も、那月にくっついてきた。那月は小さい頃の自分を見ているようで、つい玲央を甘やかしてしまう。  兄弟のいない那月は年下と接する機会がほとんどない。懐かれるのは嬉しいもので、自分にも弟がいたらこんなに楽しいのだろうかと想像する。  玲央はしゃべるのが好きで、話題は尽きることがなく次から次へと続く。 「僕、バスケ部入りたいのにお兄ちゃんがやめろって言うんだ。酷いよね、自分はバスケ部だったのに。知ってる? バスケしてるお兄ちゃんすごくかっこいいんだよ。この前もね……」 「玲央、もういいから。ほら、アキがお前のジャージ噛んでるぞ」 「アキ! だめだよ!」
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