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理央が駅まで送ってくれることになり、玲央とは玄関で別れた。理央と二人で歩きながら、那月は久しぶりに満たされた気持ちでいた。
「遅くまでごめんね」
「いや、いいよ。それより玲央がごめんな」
「楽しかったよ。弟っていいね」
「兄弟いないの?」
「うん。一人っ子なんだ。ペットも飼ってないから、理央くんの家すごく楽しかった」
「それならよかった」
「玲央くんにはああ言っちゃったけど、本当に来週も行っていいの?」
「いいよ。むしろ忙しいのにありがとな」
理央の家から駅までは思ったよりも近く、あっという間に着いてしまった。理央に見送られるのを不思議に思いながら改札前で別れる。
「またな」
「うん。またね」
改札内に入って振り返ると、理央はまだ那月を見送ってくれていた。友達とこんなに一緒にいたのはいつ振りだろう。次があることが嬉しくて、理央に手を振ると自然と笑顔がこぼれた。
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