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4 羨望と嫉妬
「最近、横山と一緒に帰ってるの見るけど仲いいの?」
体育の授業中、体育館の隅に座っていた那月は、隣に座ってきたクラスメイトの今井大貴に尋ねられた。隣のクラスと合同の体育はバスケかバレーを選択するのだが、球技が苦手な那月は休憩する振りをしてバスケをする理央を眺めていた。
「まあ、仲いいよ」
「帰る方向一緒だったっけ」
「いや、俺が理央くんの家に行く時に一緒に帰ってるだけ……」
初めて理央の家に行ってから、那月は週に一度の頻度で遊びに行っていた。家に帰っても一人でいる時間が長い那月にとって、玲央としゃべったり、アキと遊んだりする時間は楽しいし、何より、理央と一緒に他愛のない話をしながら帰る時間は、肩の力を抜いて飾らずにいられるので好きだった。
しかし、今井は那月の発言に驚いたような顔をした。
「え、家に行く仲なの? ていうか理央くん呼びなんだ……」
「変かな」
「だってあいつ不良だし、佐野といろいろ正反対だからさ。中学の時も問題起こしたりして怖かったし」
「今井って理央くんと中学一緒なんだっけ」
「そうだよ。あいつ中二の時にタバコ吸ったとかで部活もやめて、それから仲良かった奴とも口聞かなくなったりしてずっと孤高の存在っていうか、近寄りがたい感じあったからさ」
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