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街灯で照らされる道を歩き続けると、小さな公園に辿り着く。いつもは静かな公園だが今夜は笑い声が聞こえる。目を向けると、十人くらいの派手な見た目をした集団が騒いでいた。彼らはいわゆる不良集団で、那月は関わらずに通り過ぎるつもりだったが、弱々しい悲鳴が聞こえてきて足を止めた。
そこにはビニール紐で体を縛られた錆柄の猫がいた。不良たちは猫を虐めて笑っていたのだ。
その光景は酷く不快なもので、那月はめまいがした。早まる心臓を深呼吸で落ち着かせ、警察に通報しようとスマホを取り出した。場所を伝えるとすぐに向かうと言われたが、待っている間にも時間は過ぎ、猫は痛めつけられていく。
そのまま見ているのは耐えられなかった。自分一人で彼らを止められるとは思わなかったが、那月は公園へと足を踏み入れていた。
「何してるんですか」
那月が声をかけると不良たちは顔を上げて那月をジロジロと見た。
「何だよお前」
「猫がかわいそうです。やめてください」
那月は怯むことなく言い放つが、不良たちはにやにやと笑ったり、怪訝な顔をしたりするだけで、猫を解放しようとはしなかった。
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