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理央は勇太たちに罪を着せられたと言っていたが、印象は人それぞれのようだ。もちろん、那月は理央からしか話を聞いていないので本当のことはわからないが、それでも理央には中学でのしがらみに囚われずに高校生活を送ってほしいと思うのだった。
「理央くん、すごく優しいよ」
「マジかよ……。でも確かに、中一の時は友達多かったもんな。でもやっぱり怖えよ」
大貴の話を聞きながら試合を眺めていると、理央の放ったボールが綺麗な放物線を描いてネットに入った。周りから歓声があがり、思わず那月も言葉がこぼれる。
「すごい」
「佐野には無理だな」
「わかってるよ」
大貴に揶揄われながら理央をずっと目で追っていると、理央がこっちを見て目が合った。那月が小さく手を振ると理央は手を振り返してくれた。
「今の何?」
「何が?」
「横山ってあんなことすんの?」
「どういうこと?」
「いや、別にいいけど。お前らよくわかんねえよ」
そう言い残して大貴はバスケットコートへ向かった。ちょうど試合が終わり、次のチームと交代になる。入れ替わるように理央が那月のもとへ来た。
「バスケ行かないの?」
「うん。まだここにいる」
「そっか」
理央は静かに那月の隣に腰を下ろした。
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