2 学校での再会

1/4

22人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ

2 学校での再会

 那月は公園での出来事から数日学校を休んで、週が明けてから登校した。優等生の那月が不良の喧嘩に巻き込まれたということで、校内で話題になっており、多くの生徒と教師に声をかけられた。中には誤った情報を耳にして、理央が猫を虐めていたのだと思っている者もいた。那月は話しかけられるたびに間違いがあれば訂正しながら、早く理央に会おうと思った。  理央は先週から登校しているそうだが怪我をしていたし、警察に疑われなかったか気がかりだった。それに、那月は自分が何もできなかったせいで余計に足を引っ張ってしまったのではないかとも思っていた。そのことも早く理央に会って謝りたかった。  昼休み、那月は理央のクラスを訪ねたが、理央はいなかった。昼食を買いに売店にでも行ったのだろうかと思い校内を探していると、中庭の自販機の前に理央はいた。ちょうど立ち去ろうとしていたので那月は走り、声をかけた。 「横山くん!」  那月の声に理央が振り向く。シルバーのピアスが日に当たってきらりと光った。それが綺麗で那月は思わず見惚れてしまう。 「お前は……」 「佐野那月だよ」
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加