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休日
★
フリーターで生計を立てている俺は、基本的にいくつかのバイトを掛け持ちして凌いでいる。
そうした生活の中で、たまにできる休日には、クズらしくパチ屋にいったりもする。
本日はその数少ない休日で、朝から整理券を求めて外へ繰り出した。
同じ目的で早く起き出した人間の列に並ぶ。平日の早朝に、早起きできるのだから働けよと思うが、俺も人のことは言えない。
というか、朝から酒臭いジジイや、底辺丸出しのバカップルに挟まれて、俺はそんな自分が惨めに思えてきた。
バカップルの男の方が(首のあたりに筋彫りのみの刺青が見えた)勝ったらなんでも買ってやるよとか調子のいい事を言った。
女の方は(やたら長い髪に、濃い赤の口紅が目立った)きゃー、期待してる!とかなんとか騒いでいる。
あんなクズにも女の子が寄っていくのに、と妬ましく思うが、パチ屋の窓に映る自分の容姿を見てため息がでた。
よく言えば平凡。悪く言えばなんの取り柄もない。それが、俺だ。
可哀想な俺。自分で狩りができないのだから、そこはプロの方にお金を払って…もしくは一人寂しく慰めるしかないのだけど、なんせ虚しい。
虚しい俺は、こうして暇な時間をパチ屋ですり潰す。
列が動く。おいで、おいでと、後戻りのできない片道切符を貰う列。
なんか、楽しいことないかなあ。
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