赤い髪の死神

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 ナツは心底楽しそうに、俺のアイスを齧りながら笑った。 「今度なんたらダッツ買ってやるから、な?」  ニマッと無邪気な笑みだ。 「もういい…はやく退いてくれ」  ため息とともに言うと、ナツの重みが消えた。同時に、手を引かれて、立ち上がるのを手伝ってくれる。 「いつになったらオレを捕まえてくれるの?」 「いつになっても無理だ。だって、」  俺はコイツをお遊び程度でも捕まえることはできない。  なぜならこの無邪気な笑顔を浮かべてアイスを齧っている、精神年齢幼児のこの男は、 「本物の殺し屋を捕まえるなんて出来るわけないだろ」  現役バリバリの、裏社会で『死神』と呼ばれ恐れられている殺し屋なのだから。
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