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赤い髪の死神
★
「ああああっ!!!!」
冷凍庫に入れて、大事に取っておいたアイスが無くなっていた。
もう寒い季節だけど、風呂上りにはやっぱりアイスが食べたいと思う俺は、それをただ唯一の楽しみにしていた。
「ナツ!!」
「あ?」
振り返るとリビングのソファにダラシなく身体を投げ出してテレビを見ていたナツと眼があった。
今まさに、俺の棒付きアイスを口に咥えようとしている。
「か、え、せっ!!」
「イヤだね。早い者勝ち」
「居候の分際で」
「今度買ってきてやるよ、ほら、なんたらダッツ的な高いヤツ」
「俺は今!食べたかった!!」
ヘラヘラと笑う、全く反省のないナツにムカついた。
「返せよ!」
ズカズカとナツへと迫る。ナツは、余裕の笑みを浮かべて俺を見上げた。
俺はナツの胸ぐらを掴もうと手を伸ばす。我ながらなかなかに素早い動きだったと思う。少なくとも、ナツと出会ってからは、こう言う時に躊躇ってはいけないことを知った。
でも、俺の素早さなんてやっぱりナツには敵わなかった。
ナツは、ダラシのない格好でソファに身を預けていたのに、俺の手が迫るのと同時に、素早い身のこなしでソファから離れた。
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