しっちゃかめっちゃかになっちゃった王様

1/1

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

しっちゃかめっちゃかになっちゃった王様

 馬鹿が嫁と消えた先を、マダム・フォックスはワナワナしながら見つめていた。 「ジョナワン様」 「はい何でしょう?トキさん」 「そんな方はここにはいないと先ほどから。何遍言えばよろしいのでしょう。我がピチピチのお乳をお見せしたというのに、何故ですか坊っちゃま。大体何がマコマコか。年がら年中聞いております。許しません。確かに坊っちゃまにおかれましては、奥様に仕えよとお言葉を賜りましたが(わたくし)はアースツーの美しき狐マダム・フォックス。フォックス・ワン、フォックス・ツー、あれをお持ちなさい」  人間が乗れそうなケースを幾つも運んできた二人に見覚えがあった。  露出たっぷりなドレスを着ていたが、確かオキツさんとネゴロさんだった。 「では、買いました」 「は?何を?」 「ですから、この店を買いました。2000億で足りますでしょうか?」  突然何を言い出す。 「では、オーナーとして失礼致します」  腕をグルグル回し始めた。どうやらトキさんは目の前にゴーマと嫁のベッドルームを、空間をねじ曲げて呼び寄せたようで、つまり。  神もどきはやることが滅茶苦茶だった。  小さな空間の小窓からはゴーマと嫁がイチャイチャしていた。 「うわーい!スケスケメッシュでほぼ丸見えなおっぱいいただいちゃうよ?!いただきまーす!」 「ああん♡おじしゃましゅてきん♡おじしゃまのお口がマコマコのおっぱいを♡」  はい。ヘビーペッティング中でした。 「ああ♡マコマコのアリスちゃんはもう♡あら?この手は?」  狐おばさんの手です。  当たり前のように、おばさんはぶっ放した。  同時に、上階に爆発音と振動がこだました。  ふう。これでよし。といった顔をしたおばさんの空間の窓をぶち壊して、蛇にゃーが飛び出してきた。  ビリビリに破れたベッドシーツを腰に巻いていた。 「ーー何か?」  物凄い低い声で蛇にゃーは言った。 「さあ?何か?とは何でしょうか?」 「マコマコのおじしゃまの寝室を粉微塵にしておいて何を?」 「失礼、つい手が滑りまし」  狐おばさんは蹴り飛ばされて壁を粉微塵に変えた。 「そうですか。申し訳ありません。足が滑りました。ふん!」  上から降ってきたおばさんのフライングニーを蛇にゃーが受け止めていた。 「本に失礼。体中が滑りました」 「ああそうですか。何のつもりですか?私に仕えるのでは?」 「稲荷山トキ殿がお仕えするのは勘解由小路真琴様のみ。アースツーのクソメスヘビなど知らぬと仰っています」 「理解しました。ゴミのような狐ババアに死を。こっちを見ろ」  にゃー(眼帯)をずらして言った。 「邪眼などというバッチいものを見ろと?」  そして、二人は消えたが、物凄い魔力と破壊の余波で、フロアは瓦解しかけていた。 「ああ。あいつ等マジでやり合うんだな。神界で。今思い出した。マコマコはハデスの嫁のプロセルピナだった。貴狐天王とプロセルピナのマジ喧嘩だ」  何で無事なんだこいつ。 「お前、ホスト取り合って客がもめるってのは解るが、アカデミーが消滅するレベルの魔力が」  そして、ジョナワンはやる気を失っていたヘルプ達を見た。  つまりこうなる。  ジョナサン敗北してモンテネグロこんにちは。  ふざけんなボケえええええええ! 「真面目にやれお前等ああああああああああああああああ!モンテネグロって大体何だ?!」 「バルカン半島の国だ。日露戦争時にロシア側に立って義勇軍を満州に派兵したが全く相手にされなかった。日露戦争終結後も日本と戦争し続けた国でもある。つまりバルカン半島はほとんどロシアだ。要するにヘルツェゴビナもロシアだ。作者は間違っていなかった」  インドでヘルツェゴビナ人を名乗ってたらロシア人にされたことがあったらしい。 「知るかあああああああああ!ブラック・インペリアルに勝たないと!俺が犬にされるんだって!」 「ああ?俺がここにいて負けるはずがない。お笑い担当が場を塞いだ。あとは本命の出番だ」  はあ?ジョナサンがそう言っていると、若い女性が二人、こちらに近付いてきた。  よくこんだけぶっ壊れてるのに来るねあんた達。 「あ、あの、カゼワンさん?」 「ええそうですが。いらっしゃいませお姉さん。いい匂いがしますね。尻が」  お前マジで死ね。銃はどこだ。 「あの、もしかして、シズヤ・カザマさんですか?このアルバムの」 「テスティス・インターミディエイトじゃねえか。アースツーに売られてんのか?」 「ええー?!マサーさんて、マサオ・シロガネ?!凄いファンなんです!サイン!握手してもらっていいですか?!」  ああ?おかしなことが起きていた。 「よかったな静也。お前のベースのファンがいて」 「やっぱりシズヤさん!素敵!アースワンについて聞かせてください!」 「あ、ああ」 「カゼワンとマサーは二階に行っとけー」 「ハイセ・ツーさんご指名です」 「ハイセ・ツーなんておかしな名前してたけど、やっぱりライルじゃない」  やって来たのはエロいおばさん達だった。  うちの初等部の母親達だった。 「あ?お前等どうした?ガキは寝たのか?」 「ええ。だからーー火遊びに来たの」  挑むような目で、カノンの同級生のママは言った。 「よし。じゃあアフターな」 「さっさと上に行けハイセ・ツー」 「うるせえクソ師匠。旦那にゃあ言うなよ」 「そいつはどうかな?」  ライルはおばさん達と上がっていった。  へ? 「王様、お久しぶりです」 何とも可愛い娘は、ジョナサンに挨拶した。 「ーーああ、バタースカッチのお孫さんで、チェルシーちゃん。だったか?」 「はい。アルフォンス君に会いに」 「おー、チェルシーじゃねえか。またデカくなったな」  スライムの分際で、ジョナサンの肩を叩いてチェルシーと上がっていった。  カツラ変だよー。とか言っていた。 「言ってなかったが、一階は丸々控え室だ。よっと」  空間に手を伸ばし、女達を侍らした。 「もう喧嘩はなしな?マコマコ♡トキもやめとけ」 「勿論でしゅ♡しゅてきな降魔さん♡」  「坊っちゃまのお言葉は全てに優先されます♡本に凛々しくおなりになられて♡」 「じゃあ俺も上に上がるぞボンクラ犬。じゃあな」  ジョナサンは気づいたら独りぼっちになっていた。  ジョナサンは二階に駆け上がり、そして、見事に敗北したのだった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加