野望の影

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野望の影

まあ、どうせイルゼは捕まってるだろうし。 どうでもよさそうにミラージュは言った。 「気づけば遠くでインクリが聴こえてる。店の勝利と建国記念日の凱旋ライブだっておっさんが。まあ既に見えてたのよ。あんたの敗北は。だからね、一つだけ聞かせてちょうだい。ロクサーヌの息子。あんたは誰?」 突如大佐の姿は消え、ミラージュは、彼が置いていった箱の姿を認めた。 「お願い!」 突如、ミラージュは誰かに叫んでいた。 恐るべき速さでミラージュの肩を抱いたのは、護衛官筆頭のジェイドだった。 動いたのは、護田さんの絶対障壁、そして、箱を高々と蹴り上げた三田村さんだった。 天井を貫通して空に舞い上がった箱は、激しい光と共に消滅した。 上方を見て、振動の余波が治った後でジェイドが言った。 「あれは?」 「多分ポケットメギドよ。ノーニュークリアの大規模破壊兵器。おっさんが面倒がってたのよ。とりあえず会場で、いえ、急いで行くわよ。さっさとしなさい」 やおら歩き出したミラージュに、ジェイドは追いかけながら問うた。 「どちらへ?」 「あいつの名前を唯一知ってるであろう女の所よ。セントラルの女子刑務所よ。あの女、こっそり会ってたのね。もう遅いかもしれない。あいつが転移魔法使えるとは思ってなかった」 急ぎセントラルに戻ろうとするミラージュの背中を、ジェイドは見つめていたのだった。
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