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始まった出鱈目
ん?何だ?
ベタベタに引っ付いた嫁とか三つ子に囲まれた、現職の日本の国会議員が言った。
「いきなり始まったこの工事は何だよゴーマ?」
「敵は金で攻めてきたんだろう?だったらルールの範囲内でやるだけだ。おい!どうだ?!出来上がったのか?」
いきなり商業区のど真ん中で始まった大規模工事。
ひょっこり顔を出した12歳の娘は、頭にタオルを巻いて言った。ダルダルのニッカボッカなんかどこで買った?
「終わったから帰るわよ。魔王の耳を噛む。その為だけに私はあるんだもの。じゃあね」
娘は転移して消えた。
「ありゃあ前に神界で登録した俺の使いだ。名前は、確かクリ子だ」
「知ってるよ!人の可愛い長女に何させてんだ?!あとうちの子はステラだボケええ!」
あれは学園国家アカデミーの第一王女、クリステラ・エルネストだった。
王女にドカタやらせるって一体。
「まあ、神レベルのステラの魔力を考えればーーってうおおおおおい!ジョエルの店はどうなった?!」
真っ先に消滅していた勇者ジョナサンの店構えがあった。
「ん?狭かったんで、駐車場になっている。ああ忘れてた。これがないとな」
ゴーマの力が、その看板を地面にぶっ刺した。
「な?」
「俺の思い出の場所が!Pの看板が立っただけじゃねえか!」
「見ろ。実際5台しか止められん狭い駐車場だ。あれだな。隣に立体駐車場作っとくか。時代遅れだぞジョナサン。アースツーはとっくに国民の1/3が魔力炉搭載車をだな。アースワンで完全に霊力炉との互換が可能になってな。人化オーガなんか引っ張りだこになった」
知るか!
「大体あの店は何だ?!デカいビルになっちまってる!」
「ああ。ジョエルの店の隣にあったビルだ。宗教法人を笠に着せてたが、蓋を開けりゃあエラルの神殿だった」
じゃあしょうがねえな。本来なら跡形なく爆散してーーおい。
「俺の関係者の店の隣じゃねえか!あの馬鹿神!」
アカデミーの年中行事の一つに、エラル信徒とジョナサンの平和なかくれんぼというのがあった。
住まいを見つけたら跡形なく爆散させるだけで。
「商業区なんで盲点だったな。ついでにビルの回りの区画整理もやっといたとぞ。クリ子の独壇場だ。ああいう大規模事業は」
向こうでガクブルのジョエルがアルテミシアといた。
「ああああああ!王様!この人滅茶苦茶です!俺達の店が消えて!12階建てのビルに!」
「マスター。どうしますか?主人はすっかり怯えています」
「気にするな黒髪プチおっぱい。商業区にランドマークが欲しかったところだ。頑張れよジョエル。お前が商業区の顔になれ」
「うわあああああああ!お母ちゃああああああん!」
「お母ちゃんって叫ぶの懐かしいな。昔よくそうやって母親に泣きつく奴が側にいた。実際は俺の乳母だった訳だが。12階建ての内店は6階までだ。そこから上はアカデミー貿易公社が2階分、9階は賃貸フロアだ。更に上がお前等の自宅になってる。屋上はまあ、俺の好みの空間になっている。ジョナサン、敵は資本主義の約款の元に攻撃してきたんだろう?だったら簡単だ。金にものを言わせりゃあいい。まあ任せとけ。俺がホストになるとは思わなかったが」
凄い嫌な予感がしていた。
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