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協力者
衣望里と美羽は松林の中を駆け出した。
二人の外国人男性とは距離があるうえに、パッと見だったので、衣望里の目には彼らの顔をはっきりと捉えることはできなかった。
けれど、一つだけ印象に残ったのは、太陽の光に反射して、キラキラと輝いていた二人の髪の色だ。一人は金髪、もう一人は……?
長身の男たちは身体を鍛えているのか、砂浜に足を取られることもなく、長い脚を大きく前に出し、ザクザクと砂を踏みしめながらこちらに向かって歩いている。
ただの外国人観光客の可能性もあるが、衣望里の中にざわめく気流が生まれ、彼らが普通の男性ではないことを告げていた。
ふと、今立ち止まったら、どんなことが起きるのだろうという強い好奇心が湧いて、衣望里は臆病な自分らしくもない気持ちに戸惑った。
これも、支配者の影響だろうか?他人の場合なら、今すぐ引き返して話してみてよと言いたいところだが、自分自身で試すには、まだ覚悟ができていない。
そこで衣望里は、はたと気が付き、愕然とした。
まだ?……まだ覚悟ができていないってどういうこと?
それは応える余地があるということ?
自問してみるが、考えるのも恐ろしく、即座にあり得ないと否定した。
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