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「未熟児だった赤ちゃんって、私のことね?消えた羽はどこにいくの?それをどうやって見つければいいの?見つけられなかった場合はどうなるの?」
疑問が次から次へ湧いてきて、不安と共に衣望里の口からこぼれ出す。期待した答えは返らず、祖母の眉間には皺が刻まれたままだった。
「保管しそこなった羽衣は、その子が成長して誰かと結ばれるまでは、姿を色々変えながら自由に移動して、その子を見守るらしいの。でも、支配者たちは羽の気配を感じることができるから、翼の乙女の居場所を知らせる役割も果たしてしまうのよ」
「ええっと、ちょっと待って、おばあちゃんの言う支配者って誰のこと?どうして支配者が翼の乙女を探すわけ?」
「支配者は神獣の力を宿す王位継承者のことよ。その昔、翼の乙女は珍しさから、売買されたり貢ぎ物に使われるために乱獲されるようになってしまったの。大多数が不幸になったことから、翼の乙女たちは不思議な力を持つ支配者たちに庇護を求め、その国に乙女たちの住む場所が与えられた。経緯は知らないけれど、一人の支配者に対して一人の翼の乙女が運命づけられているために、支配者たちにとっても翼の乙女を一か所に保護する必要があったみたいね」
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