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羽衣の松の木の下で・・・
「おばあちゃん。もうそろそろ普通にしゃべってくれないかな?横に置いてある本は何?まさかその影響じゃないでしょうね?」
「フフフッ……バレちゃった?ミステリーロマンス小説なの。面白いのよ~。衣望里も読んでみる?」
「はぁ~っ。心配して損しちゃった。もう、おばあちゃんったら、何が翼の乙女よ!あまりにも真に迫ってたからドキドキしちゃったじゃない」
「決まってた?目に力を入れながら相手を見て、声を低くして言うのよ。気を付けなさい。王子たちに狩られぬように。あなたには翼の乙女の血が流れているのだから」
「きゃ~っ!決まってる!決まりすぎる!それもだけど、支配者がやってくるっていうのウケるわ。サンタが街にやってくるの歌詞じゃないんだから、もう、おばあちゃんお茶目すぎ!」
祖母の話に身を強張らせていた衣望里は、芝居だと分かった途端、ソファーに倒れ込んで、座面をバンバン叩きながら笑い出した。
その様子を、愛情のこもった目で眺めていた祖母は、まだ笑い止まない衣望里に優しく声をかけた。
「ウフフ……衣望里は怖がりなところがあるからね。翼の乙女のことは、他人には秘密よ。従妹の美羽なら相談しても大丈夫だから、元気づけてもらいなさい」
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