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「それ、食べるのか」
気がつくと、背後に立っていたはずのレニャが隣に立ち、背伸びをして俺の手元を覗き込んでいた。
手の中には手のひら大の大きさの鈍色の四角い缶がある。外側に何の記載もなく何が入っているのか分からないが、ところどころ落としたり硬い物で叩いたりしたようなへこみや擦り傷があった。大方、なんとか開けようとして試行錯誤した跡なのだろう。
レニャは真剣な表情で缶を見つめている。主に焦燥と、少しの期待の入り混じった、青い目。
教会的に贅沢は本来褒められた行為ではないが、そこに大義名分があるとすれば、神も少しは大目に見てくれるだろうか。
「食べたいなら、そこのボロ布とバケツを持ってついてこい」
そう言うと、缶と棚から見繕った適当な食材を持って外に出た。当然抗議の声が背中を追いかけてくると思ったが、意外にもレニャは素直に後をついてきた。
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