カンパニュラの花言葉

1/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ

カンパニュラの花言葉

高校2度目の夏休みが始まる日。俺は襟足の長い髪を後ろで1つにまとめ上げ、暑さを凌いでいた。 俺は学校の前の坂道を上りながら、私服のシャツの胸元をパタパタと仰いでいた。 うちの高校は制服はあるが、着ている人はそうそういない。むしろ、着ている人を見かけたら、ツーショットでも取りたくなるレベルだ。 「よっ! なーつき!」 「うぉ! 朝日(あさひ)ー。びっくりするでしょー」 背後から飛びついてきたのは、学校内でも1番仲のいい志野(しの)朝日。 「今日は終業式だな! 夏休みだな!」 「そうだねー。でも、先生たちのながーい話が待ってるんだよー」 俺はため息を吐きながら、暑苦しいー、と朝日を引きはがした。 「夏樹、サボるなよ?」 「……。ははー」 ヘラヘラと笑って誤魔化した。どうしてサボろうとしていたことがバレたのだろう。やっぱり朝日は俺のことをよく見ている。 「夏樹ー!」 並んで坂道を歩いていると、後ろから甘ったるい女の声が聞こえた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!