0人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
カンパニュラの花言葉
高校2度目の夏休みが始まる日。俺は襟足の長い髪を後ろで1つにまとめ上げ、暑さを凌いでいた。
俺は学校の前の坂道を上りながら、私服のシャツの胸元をパタパタと仰いでいた。
うちの高校は制服はあるが、着ている人はそうそういない。むしろ、着ている人を見かけたら、ツーショットでも取りたくなるレベルだ。
「よっ! なーつき!」
「うぉ! 朝日ー。びっくりするでしょー」
背後から飛びついてきたのは、学校内でも1番仲のいい志野朝日。
「今日は終業式だな! 夏休みだな!」
「そうだねー。でも、先生たちのながーい話が待ってるんだよー」
俺はため息を吐きながら、暑苦しいー、と朝日を引きはがした。
「夏樹、サボるなよ?」
「……。ははー」
ヘラヘラと笑って誤魔化した。どうしてサボろうとしていたことがバレたのだろう。やっぱり朝日は俺のことをよく見ている。
「夏樹ー!」
並んで坂道を歩いていると、後ろから甘ったるい女の声が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!