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そう言って、令佳先輩が机の下から取り出したのは、黒い SONY のカメラだった。目の前に差し出されたそれを受け取り、僕はいろんな角度から見てみる。ハンディカムと言いつつ結構でかい……って、4K !? げ、FDR-AX700 だと……?
なんてこった。ZEISSレンズで、4Kハンディカムとしては最高級品にあたる。価格にして15万円以上はするはずだ。そりゃ、使いこなすのは大変だろう……
「どう? 使い方、分かりそう?」
いつの間にか、令佳先輩が僕の顔をのぞき込んでいた。
「ええ……まあ、何となくは分かりますけど……これ、先輩のカメラなんですか?」
「ううん。これは市の新体操クラブの予算で買ったの。コーチの旦那さんがカメラ好きで、これなら体育館の屋内のような暗いところでも上手く撮影できるから、って言うんで買ったんだけど……本格的すぎて私達の手には負えないのよね……大きくて重いし」
やっぱりな……もうちょっと安くて簡単なカメラにしておけば良かったのに……
「というわけで、それを使って私達の演技を撮影して欲しいんだけど、どうかな?」
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