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 相手の男は見たことがないが、私服を着ているところを見ると、うちの学校の生徒じゃなさそうだ。文化祭と言ってもうちの生徒は制服着用が義務づけられている。  二人にはもう、見るからに恋人同士のオーラが漂っていた。令佳先輩の顔には、いつもは絶対に見られないような、甘ったるそうな表情が浮かんでいて……その男を見つめる彼女の眼は……なんと言うか、トロンという感じで……あんな幸せそうな顔の令佳先輩を見るのは初めてだった。  顔が青ざめていくのが自分でもわかる。全ての感覚が遠ざかる。まるで、足元がガラガラと崩れ去っていくようだ。  しかし、僕はすぐに我に返る。これは現実だ。決して見たくはなかったが……現実なのだ。認めなくてはならない。  そうだよ。よく考えれば当然と言えば当然じゃないか。あれだけ美人な令佳先輩に、彼氏がいないわけがないよな……  だけど僕は、このことで僕が受けたショックの大きさに、自分自身でも驚きを感じていた。僕は……こんなにも令佳先輩のことが好きだったのか…… ---
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