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コンテストの入選作は Web でも見られるのに、わざわざ展示会場まで足を運んでくれたんだ……ちょっと嬉しい。
「ええ。やっぱりスマホの画面じゃなくて、大きな写真として見たくてさ。激しく動く神輿の、一瞬のシャッターチャンスを上手く捉えてたね。さすが、って思った」
「あ、ありがとう」僕は照れくさく感じながら頭を下げる。
「それで実はね、カメラが得意な君に一つ、頼みがあるのよ。話だけでも聞いてもらえないかな……」
「頼み……?」
「うん。とりあえず、今日の放課後空いてる?」
「あ、ああ」
「だったら、ちょっと来て欲しいところがあるんだけど」
「え……どこに?」
「市立体育館」
「なんで?」
「あたしの部活の練習場所なの。部長が君に会いたいんだって。詳しい話はそこで部長から聞いて」
「……わかった」
僕がうなずくと、佐藤さんは笑顔になる。
「それじゃあたし、四時半に体育館の正面玄関で待ってるから。よろしくね」
そう言い残して、彼女は教室を出て行った。
しまった……何の部活か、聞くの忘れてたよ……
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