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「もう」呆れ顔で三崎先輩を一瞥してから、令佳先輩は僕に向き直る。「それでね、浜田君。単刀直入に言うと、君にカメラマンになって欲しいのよ」
「カメラマン、ですか?」
「ええ。私らはね、練習や競技会の様子を動画で撮影して、後でそれを見て演技の改善に役立てたいと思ってるの。でも、今までスマホで部員が代わりばんこに撮ってたんだけど……さすがにスマホじゃ厳しくてね。だからムービーカメラを買ったんだけど……誰もそれを使いこなせないのよ。それで、部員のメンバーに、誰かカメラマンになってくれそうな人知らないか、って相談したら……茉奈ちゃんが、心当たりがある、って言ってね」
「ああ……」
そういうことか。それで僕に佐藤さんが声を掛けてきたんだ。
「その人が撮った写真がフォトコンテストに入選して、市民会館のギャラリーに展示されてるから、って言うんで、私も茉奈ちゃんと一緒に見に行ったの。神輿の躍動感がすごく巧みに表現されてて、いい写真だった」
「……ありがとうございます」
僕は顔が上気するのを感じる。嬉しかった。密かに片思いしてる人に自分の写真を見てもらえて、しかもこんなに褒められるなんて。
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