織田先生はなぜ授業参観を休んだのか

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 岩上先輩が胸ポケットからあのかわいい手帳を取り出して、取材を開始する。 「では、織田先生。織田先生は完全無欠、品行方正と言った言葉を体現しているかのような先生です。その織田先生が授業参観日を休まれたことで、校内は騒然としています。こちらで仕入れた情報では、病欠、重い病発覚による心身疲労、事件や事故に巻き込まれた、女子高生との違法なお付き合いなど、さまざまな種類の理由が推測されています。織田先生が女性と産婦人科医院に入っていったとの情報もあります。しかし、我々新聞部はあくまでも本当のこと。真実を伝えなければいけない義務があります。どうか、織田先生が学校を休まれた本当の理由を聞かせてくれませんでしょうか」  岩上先輩はさすが部長と言わざるを得ない口ぶりで織田先生へのインタビューを開始した。織田先生はただじっと先輩の言葉を聞いている。そして、全ての言葉を聞き終えて、ふぅと一呼吸おくとついに織田先生はついに、我々が探し求めていた情報を話し出した。 「私が学校を休んだ理由は"寝坊”だ」    そのとき我々が文字通り、拍子抜けをくらったのは言うまでもない。  さらに織田先生は続ける。 「私が産婦人科医院に女性と行ったのは本当だ。一緒にいる女性は私の妻だ。それとおそらく、私が女子高生と一緒にいたというのも本当だろう。そっちは私の義理の(・・・)妹だろうな」  少しの間、俺たちは言葉が出なかった。妹というのは正解だったが、正確には義理の妹であったのだ。  言葉が出ない俺たちを見て、織田先生はさらなる話が必要だと判断し、これまでの詳細を語り始める。
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