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「二日連続で休みか……前代未聞だな」
進藤が自分の手帳を見ながらつぶやいた。
「いや、なにが前代未聞だよ。休日は普通休むもんだろ」
俺の言っていることはド正論だと思う。しかしなぜか俺は進藤と岩上先輩に総スカンをくらった。
「その普通が織田先生にとっては普通じゃないんだよ。土曜だろうと日曜だろうと、国民の祝日だろうとゴールデンウィークだろうと、織田先生は学校に来るんだ。仕事をしにな」
あらためて聞くと異常としか思えない。なぜそこまできっちりかっちりした生活を送らなければならないのか。
「織田先生って部活の顧問でもしてたんですか?だって部活動でもなければ休日出勤する意味なんてほぼないに等しいでしょう?多少、仕事はあるにしても」
俺は二人に織田先生について尋ねた。すると、岩上先輩が自分の胸ポケットから小さなピンクの手帳を取り出し開いた。
「織田先生はなんの顧問も受け持ってはいないわね。でも生徒会の担当教師は織田先生みたい。生徒会が休日に集まることもあるし、それに教師の仕事っていうのはやり切ることができないくらい無数にあるわ。やろうと思えば休日にやれることもいっぱいあるはずよ」
その話を聞いて、俺は少しだけ織田先生に感服する。
「かわいい手帳ですね」
俺は岩上先輩の手帳を見・・ながらそう言った。
「きゃぁ。かわいいって言われちゃったわ。私うれしい」
「かわいいって言ったのは手帳のほうです」
俺は先輩の言葉を冷静にバットで打ち返した。
その後、俺たちはネットで情報を集めることにした。生徒のSNSや学校の掲示板など、真偽のほどは定かではないが、情報はいくらでも転がっている。
しばらく作業をしたあと、進藤がパソコンを操作しながら「あっ、これは……」とつぶやいた。
「先輩!ちょっとこれ見てください」
呼びかけられた先輩が進藤のパソコンを覗きにいく。それにつられて、俺も進藤の隣に駆け寄った。なんだかんだ言って気になってしまうのが人間のさがというものである。
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