真夏の夜の夢

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「何やってんだ、あいつ」  夕刻のサマーフェスティバル会場で、林原 霧矢(はやしはら きりや)は思わずそう呟いていた。  夏の日は、長い。  夕日は未だ明るく、行き交う人々を照らしている。  そんな中、人目もはばからず座り込んで、べそをかいているその姿。  同じクラスの男子、角 詩音(すみ しおん)だ。  青が基調の格子柄に水玉模様の入った、ポップな浴衣を着ている。  いわゆる不良と目される霧矢にも、無邪気に話しかけて来る詩音。  泣いた姿なんか、見たことも無いのに。 「……ちッ」  霧矢は舌打ちすると、手近な屋台でかき氷を買った。
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