心の距離。

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心の距離。

「当たり前~、当たり前~、当たり前運動!右手を出して~、左手を出したら~、前ならえ!」 ハンプトン子爵令嬢は、歌を歌いながら気分よく帰っていた。 すると子供達がやってきた。 「何歌ってるの?」 「そっかぁー!今時の子供は、この歌知らないのね……。この歌はねぇー、一昔前に流行った歌よ。」 「そうなんだ!俺にも教えて!」 「僕にも教えて!」 「私にも教えて!」 「俺っちにもー!」 「あちしにもー!」 「良いわよ!今日は気分が良いから、あなた達に特別に教えてあげるわ♪」 「「ヤッター!!ありがとう!!!!」」 そして、ハンプトン子爵令嬢は真剣に教え始めた。 「歌の通りに自分の手や足を動かすの!それで、パターンはこのパターンとこのパターンとこのパターンがあるの!そして……」 「こんなところで何をやっているんですか?」 「えっ!?アベラード卿!?なんでここに??」 「仕事が早く終わったから、図書館へ行こうとしてたんですよ。ハンプトン子爵令嬢こそ、子供達と何やってるんですか?」 「えーと、私はなんと言うか……」 「このお姉ちゃんはねー、僕たちに当たり前運動を教えてくれていたんだよー!!」 「ちょっと、恥ずかしいじゃない!!言わないでよぉー!!!」 「あー!!お姉ちゃん、顔真っ赤になってるよー!!!」 「本当だー!!」 「なんで、なんでー?」 「「もー!!こうなったら、アベラード卿も道連れにしてやるんだからー!!!」」 「えっ!?何ですか!?急に??」 こうして、アベラード卿も一緒に当たり前運動をすることになった。 「ふぅー、疲れた……。子供達と遊ぶのは体力がいるな……。」 「私もヘトヘトよ……。」 「でも、楽しかったな。」 「……あなた敬語が抜けてるわよ。」 「えっ!?すみません!!私としたことが、ついうっかりしていました!!気をつけます!!!」 「まあいいわ。あなたとは身分とか関係なく、対等でいたいし。これからは、敬語もいらないし、アリアと呼んでくれて構わないわ。」 「そんなわけにはいけません!あなたと私では、身分が違うんですから!!」 「前から、アベラード卿とタナカさんには名前で呼んでほしいと思ってたのよ。」 「そうでしたか……。それでは、アリア嬢と呼ばせていただきます!」 「だから、敬語もいらないわよ。明日、タナカさんにも敬語もいらないし、名前で呼んでくれたらいいと言いに行くわ!それじゃあね!」 ハンプトン子爵令嬢は、そう言って去っていった。
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