出会い

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出会い

町に戻ったはいいが、一つ問題がある。服装だ。この服のせいで、町ゆく人の注目を集めてしまっていた。ある人は祈り、ある人は跪いて頭を垂れる始末だ。最初のうちは気分がよかったが、身にまとう布を変えただけでこんなにも態度が変わる現実は、少し歪にも思えた。 表通りを歩くと注目の的になってしまうので、裏通りを通って家に帰ることにした。相変わらず、ボロボロの服をまとった奴らが生気のない目でこちらを見ている。別に、何か直接危害を加えた訳でもないのに、申し訳ない気持ちがわいてきた。 罪悪感に目を背け、家賃の滞納した家に帰ろうと一歩踏み出した時、長い服の裾を掴まれる感覚があった。振り返れば、そこには小さな女の子が立っていた。 「牧師さん。あなた、神に仕える人なんでしょ?そしたら、ペロの病気も治してあげて……!」 一番やっかいなことになった。ここは表通りルートが正解だったか。とりあえず、テキトウに……何だっけこういう時いっつもシスターが言ってる言葉…… 「あー、神のゴカゴがありますように…きっとそのタロ?の体調も良くなるよ。多分。じゃあ、また教会で会いましょう…アハハ」 「タロじゃないよ!ペロだもん!」 「お、おう」 思ったより大きな声で怒鳴られたせいで、路地裏の奴ら全員がこちらを向いた。なんだよ、その目は。なんだか俺が悪いみたいな雰囲気になってきたぞ。 「ペロのこと見てくれないなら、もういい!帰る!」 「いや、もういいってお前…どう見ても帰る場所なんてないだろ」 思わずツッコんでしまった。こうなったら仕方が無い。 「わかった、わかったから……とりあえずそそのペロとか言う奴と一緒にこっちへ来い!」 こうして、ただでさえ狭いアパートに少女と犬まで転がりこんできましたとさ。一人暮らしに賑わいを、大家さんにはお叱りを。まったく、勘弁してほしいぜ。
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