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「ねえ、僕、絵日記をつけてるんだ。絵が得意なんだよ。先生を描いてもいい?」
「ああ、いいよ。でも、俺は仕事に戻らなくてはいけない。明日見せてくれるかな?」
「うん」
いつまでもここにいたら看護師やこの子の担当の医者に見つかってしまう。それにしても俺を描いてくれるなんて健気で可愛い子だ。俺は窓の外を見た。素晴らしい晴れだ。気温は30度を軽く超えているだろう。
哲也くんが入院しているのは個室だ。この病院には大部屋もあるが重症の患者は個室に入って貰っている。窓からは街の景色が一望出来て夜景も綺麗な部屋だ。たまにドクターヘリがバタバタと音をさせてやって来るが哲也くんの居る部屋からはドクターヘリが着陸する姿は見えない。男の子だったらさぞかし見たいだろう。天国に行ったら好きなだけ乗り物を見せてやりたい。
俺は夜の10時に毎日決まって神のところに今日の報告をしにいく。神は天の上にいる。人間からは見えないが月が周回する位置と地球の間。大気圏の下くらいの位置でプカプカと浮かんでいる。人間の姿をしているが大きな翼が生えていて天使のような外見だ。大きな翼は真っ白でそれで空を飛んでいるようだ。
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