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そして、全て完食した櫻ちゃんは
バタンとベッドに仰向けに倒れ込むと
「あぁ~、なんか羽菜ちゃんのご飯食べたら治ってきた気がする」
満足げにお腹をさすっている。
「今食べたばかりでそんなすぐに
治るわけないでしょ。
今日はもう大人しく寝てなさい」
「羽菜ちゃんが添い寝してくれたら
一発で治るのにな...」
身を乗り出して
こびを含んだ目付きでこちらを
見つめる櫻ちゃんに
「調子に乗らない!」
と、パチンとデコピンをお見舞いをする。
全く...
本気で心配したこっちの気も知らないで...
「いって~」と涙目になりながら
おでこをさする櫻ちゃんに
私は呆れてはぁっと息を吐いた。
そして、お盆を下げようと立ち上がろうと
して、ふとあることを思い出した。
「あっ、そういえばベランダに
双眼鏡が落ちてたんだけど...」
私はポケットから双眼鏡を取り出すと
「こんなもので何見てたの?」
そう言って櫻ちゃんの顔を双眼鏡で
覗いてみせた。
櫻ちゃんは双眼鏡を見るや否や
目を見開くと、狼狽した様子で
言葉を探している。
私は「んっ?」と不審な目を向ける。
「あ~、え~っと...
バードウォッチング...?」
「なぜ疑問系?」
「いや...
可愛い小鳥がカラスに狙われてたんだよ」
櫻ちゃんは思い出したような調子で話す。
「へぇー...
それでその小鳥はどうなったの??」
「そんなの急いで
そのカラスを追い払ってやったさ!!」
そう言って腕を組んで
自慢気に語る櫻ちゃんに
私はふ~ん...と言いながら
櫻ちゃんがカラスを追い払うシーンを
思い浮かべて思わず笑いが込み上げてきた。
「でも、小鳥が無事で良かったね」
私が櫻ちゃんにフフッと笑みを向けると
───まだ油断は出来ないけどね...
と、櫻ちゃんは顔をしかめながら
意味深な言葉を呟いた。
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