第5話

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そして、全て完食した櫻ちゃんは バタンとベッドに仰向けに倒れ込むと 「あぁ~、なんか羽菜ちゃんのご飯食べたら治ってきた気がする」 満足げにお腹をさすっている。 「今食べたばかりでそんなすぐに 治るわけないでしょ。 今日はもう大人しく寝てなさい」 「羽菜ちゃんが添い寝してくれたら 一発で治るのにな...」 身を乗り出して こびを含んだ目付きでこちらを 見つめる櫻ちゃんに 「調子に乗らない!」 と、パチンとデコピンをお見舞いをする。 全く... 本気で心配したこっちの気も知らないで... 「いって~」と涙目になりながら おでこをさする櫻ちゃんに 私は呆れてはぁっと息を吐いた。 そして、お盆を下げようと立ち上がろうと して、ふとあることを思い出した。 「あっ、そういえばベランダに 双眼鏡が落ちてたんだけど...」 私はポケットから双眼鏡を取り出すと 「こんなもので何見てたの?」 そう言って櫻ちゃんの顔を双眼鏡で 覗いてみせた。 櫻ちゃんは双眼鏡を見るや否や 目を見開くと、狼狽した様子で 言葉を探している。 私は「んっ?」と不審な目を向ける。 「あ~、え~っと... バードウォッチング...?」 「なぜ疑問系?」 「いや... 可愛い小鳥がカラスに狙われてたんだよ」 櫻ちゃんは思い出したような調子で話す。 「へぇー... それでその小鳥はどうなったの??」 「そんなの急いで そのカラスを追い払ってやったさ!!」 そう言って腕を組んで 自慢気に語る櫻ちゃんに 私はふ~ん...と言いながら 櫻ちゃんがカラスを追い払うシーンを 思い浮かべて思わず笑いが込み上げてきた。 「でも、小鳥が無事で良かったね」 私が櫻ちゃんにフフッと笑みを向けると ───まだ油断は出来ないけどね... と、櫻ちゃんは顔をしかめながら 意味深な言葉を呟いた。
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