第5話

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「羽菜ちゃん 、何故敬語...?」 怒られるのを覚悟していた櫻介は 急にしおらしくなった羽菜を キョトンと不思議そうに見上げた。 「何でもありません!」 何でもないと言うわりに、 目を合わせようとしない羽菜の視界に入るため「おーい、羽菜ちゃん?」と覗き込むが、フッとかわされる。 羽菜は櫻介の視線を避けるように さっさと部屋を出ていこうとする。 「羽菜ちゃん!!」 櫻介はいつもと違う反応の羽菜に 不安を感じて 思わず呼び止めた。 羽菜はビクッと肩を震わせると ドアノブに手を掛けたまま、 櫻介を見た。 やっと、目があった...と目を細める櫻介。 「ご飯ありがとう。美味しかった...」 羽菜はコクコクとロボットのように 頷くと「おやすみなさい」と一言だけ呟いて 出て行ってしまった。 一人取り残された櫻介は 誰もいないドアに向かって ───おやすみなさい、大好きだよ.... と呟いていた。
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