あと5分

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あと5分

うるさいほど蝉が鳴く。 今日は8月26日、午後6時48分。 2人しか居ない少し廃れたバス停に 蝉の音が響き渡る。 何も喋られないまま、 彼と別れる時間は刻刻と迫っていた。 1時間に1本しかないバスが来るまで、 あと5分。 彼に数年間言えなかった言葉を 今日こそは言おうと、 口の中で反芻する。 しかし、いざ声に出そうとすると、 荒くなる呼吸音と、 掠れた声にかき消される。 膝の上の握った拳からは汗が垂れてきた。 チラチラと彼はスマホを見ている。 『早くバスが来ないかな』と言わんばかりに。 ギュッと拳を握りしめる。 「あ...のさっ....!!!」 彼は驚いた顔でこちらを見る。 今日初めて目が合った。 途端に鼓動がうるさくなる。 汗がにじみ、顔に熱が集まるのがわかる。 「......なに....???」 口角を上げ、 いつもの優しい声で彼は聞く。 【今しかない】 そう直感し、 1度深く息を吸い、 「僕っ、ずっと....!!!!」 ------------------------ 作者の新月新です。 突然ですが、 ここからは未来をあなたに 選んでもらおうと思います。 ハッピーエンドを望む方は次のページ、 バッドエンドを望む方はその次のページ をお選びください。
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