いい子のまま

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教室を出た瞬間、涙が出てきた。 好きな人のキスすら奪えない情けなさ、 甲斐性のなさ、弱さに自分でも腹が立ってくる。 結局、“いい子”のままで終わってしまった。 悪あがきすらできなかった。 なんとも言えない感情を抱きながらも、 「これでいいんだ」そう自分に言い聞かせた。 昇降口へと足を進める。 乱暴に涙を拭い、口角を上げる。 彼に、辛い思いをさせないように、 気まずくならないように、 変な気遣いさせないように、 また、“友達”に戻れるように。
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