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あと5分 : バッドエンド編
「あ...バス....来ちゃった....」
タイミングを見計らったかのようにバスが来た。
彼は、膝に置いていた荷物に手をかけ、
色あせたベンチから腰を上げた。
そこから5歩、リズムよく歩いて、
彼は振り返り、いつものように
「また明日」
そう言い左手を振った。
「あ....うん、じゃあね...」
軽く手を挙げ、
バスに乗り込む彼の背中を見送った。
バスが視界から消えるまで
ただただ続く1本道を見つめていた。
【明日....明日こそは言おう...】
そう思い、ようやく立ち上がる。
そして、元来た道を戻り、家へと足を急ぐ。
【明日こそは....】と決意を固めながら。
しかし
その明日が二度と来ることはなかった。
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