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「わたしなんてもってのほかだし、あの傀儡生徒会長?ダメよ!せっかく観客の熱が上がってきたってのに、場を盛り下げちゃうわよ」
傀儡って、ひどい言われようね森口君。
「じゃあ5分間休憩とか」
「ダメ。休憩とのぞみを比べれば断然のぞみ!」
どれだけ買いかぶってくれているのか、嬉しいけれど。
「のぞみ、放送部だし才能あるんだから、あと5分だけ、ね?一生のお願い!」
こんなところで一生のお願いなんて使っていいのかねぇ。
お願い、お願いと小声で連呼しながら、掃けてすぐのわたしをぐいぐいとまたステージに押し出していく。
親友の一生のお願いとあらば、腹を括るしかない。
ブタもおだてりゃ木に登ってしまうから始末が悪い。
ああ、もうどうなっても知らないからね。
「3年A組、児玉のぞみ行きます!」
と幕裏に小声で宣言してステージに向かう。
勢いで請け負ってしまったものの頭の中は真っ白、5分間も何すれば良いのよ。
今は時間がほしい。
この5分間は要らないんだけど、とにかく考える時間がほしい。
そんなことを考えている間にステージ中央にすぐに着いてしまう。
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