0人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
ドタッ。
わたしが手を振りながら舞台袖に笑顔で掃けようとした時、幕裏から鈍く、大きな音が聞こえた。
きゃっという小さな悲鳴とともに、周りがざわざわし始める。
幕裏で誰か倒れたようだ。
「みんな騒がないで、コトミ大丈夫?」
「う、うん。ちょっと立ち眩みがして…貧血だと思う。こんな時にごめんね」
「何言ってるの、そんなこと気にしなくていいのよ」
誰か保健室まで連れ添ってあげて、と周囲への的確な指示で瞬時に場を収めるカナウ。
さすがわたしの親友ね。
ミナト学園祭実行委員だけはある。
インカムで全実行委員に現在の状況と予定の変更を伝えると、カナウがわたしに話しかけてきた。
「のぞみ、あと5分だけでいいから場を繋いで!」
ええっ!?
聞くところによると、ピアノ演奏でわたしの次にステージに上がるはずだったコトミちゃんが、保健室へ行ってしまった為、予定に穴が出来てしまったらしい。
あとの予定を繰り上げようにも、次の出し物が本日最終の演劇らしく準備が間に合わないと。
「そんなこと言われても…カナウか、生徒会長は?」
最初のコメントを投稿しよう!