35歳になりました。

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 高校はビー太郎と同じだった。だけどビー太郎は進学科、わたしは普通科でおまけに文系。授業も重ならず、教室の階が違えばすれ違うことも滅多になかった。 柔道は高校2年生の時、怪我をして辞めた。靭帯を損傷して脚の手術までした。復帰する気もなかった。おかげでぶくぶく太った。 中学生の時はそれなりに良かった成績が高校に入って一気にガタ落ちした。柔道を言い訳にしていた分、辞めた後一気にツケが回ってきて困った。だけど、将来やりたいこともなかったし、正直短大ぐらい行っとこかなーぐらいの気持ちだったから別によかった。 だけど、ダメ元で受けた指定校推薦でひっかかり、そこそこのレベルの私立大学に入学した。 この時、風の噂でビー太郎に彼女がいることを知った。なんでも年上の女性で二人並ぶと美男美女らしい。 鏡を見て愕然としたわたしは決めた。ビー太郎を見返してやりたい気持ちでいっぱいだった。告白もできないヘタレなくせに何を偉そーにという話ではある。 自分でいうのもなんだけど顔の作りは悪くない。良いと言われるダイエットは片っ端から試して、ベリーショートだった髪は伸ばせばそれなりに女に見えた。 雑誌やネットを頼りにファッション、スキンケア、メイクを研究して、バイト代は恐らく殆どがそれに消えた。 大学に入学して初めて彼氏が出来た。告白されて舞い上がって付き合った人だったけど、それなりに楽しかったし大事にしてもらったと思う。 ビー太郎は有名大学に入学して、成人式で久しぶりに会ったら凄くかっこよくなっていた。 ビー太郎もわたしに会って目を丸くしていたっけ。 「大学デビューしすぎ!」って言われたわ。本当のことだし仕方がないから「悪い?」なんて言い返したけど、心のどこかで、「可愛い」と思われたくて、内心どう思ってくれているのか気になって仕方なかったけど、ついに彼の口から期待する言葉を聞くことはなかった。
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