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表面上では1/3の女子だが、わたしは密かにビー太郎に片想いしていた。きっとわたしのような隠れ1/3はもっといるだろう。そうなると学年の2/3の女子どころではない。多分、4/5はビー太郎に好意を持っていると思う。大袈裟ではなく憶測だが。
だけど、ビー太郎はわたしを1/3の女子と見る。異性として見てくれないおかげで傍に居られる。
「お、ゴリラがいる」
「木下、ゴリラに投げられるぞ」
わたしは小さい頃から柔道をしていた。そのおかげで肩はゴツいし、いつも髪はショートカット。いや、ベリーショート、とでも言う。全く
女の子らしさのカケラもない。だから素直に色んな意味でビー太郎が羨ましかった。
58キロ級なんて言うと体重がバレるし、背もそこまで高くない。160cm。中学入学時から1センチ伸びた。ビー太郎は15cmだ。わたしより背が低かったのに、彼だけ伸びるのはズルかった。
「そうだぜ、木下。結城は黒帯の雌ゴリラなんだから」
父は柔道の先生だ。おまけに結構有名。だから同じ小学校だった奴らは殆ど全員知っている。だってお父さん、怖いから。
「そんなんだからお前らモテねぇんだよ」
「んな!!」
「木下に言われても全く説得力ねぇ」
「大体一生懸命部活して何が悪いの?カッコイイじゃん。お前らみたいにテキトーにこなしてるより断然結城の方がカッコいい。男前じゃん」
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