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もちろん、こんな話、両親には言えない。マンションを買うなんて言ったら「婚期が遠のく」と嘆かれるのは目に見えているからだ。
「あやちゃん、今度彼氏紹介してね」
帰り際、菜々は目をキラキラさせて訴えかけてきた。わたしは苦笑しながらサラリと流す。
「できたらね」
それがいつになるのか本当わからん。ここ数年彼氏がいないのだ。もしかするとこのままずっといないままなのかもしれない。
『今月末、会員限定で婚活パーティーがあるの。綾乃も一緒に行かない?』
そんな不安を抱えたその夜、千佳子から連絡が入った。どうやら千佳子はあの後すぐに会員になったらしく、会員はひとり友人を連れて参加できるらしい。参加費は7000円かかるが。
7000円ならそれなりの料理も食べられるかな。
わたしは少し迷った結果、不安に勝てず千佳子の誘いを受けることにした。どちらかと言えば、男より料理目当てだが、何かきっかけがあれば、と人任せにも程があるが、藁にも縋りたくなる気持ちで返事をしたのだった。
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